2024年の日本選手権で初優勝を飾り、女子日本代表として世界選手権へ挑むなど、近年、目覚ましい活躍を見せるSC軽井沢クラブ。しかし2025年9月の日本代表決定戦、世界最終予選出場をかけた戦いはわずか数センチ、わずか一勝の差で幕を閉じることとなった。

世界との差、そしてチャンスを掴み取ることの難しさを痛感した冬を経て、チームは今、再始動している。そんな上野選手に、カーリングというスポーツの核心や求められる集中力、そして、氷上を離れた場での時間の過ごし方などを聞きました。

プロフィール

上野美優。2001年3月12日生まれ。長野県軽井沢町出身。大学在学時の2022年、出場した世界ジュニア選手権で日本カーリング界初となる金メダルを獲得。2024年には所属するSC軽井沢クラブのスキップとして、日本選手権初優勝。同クラブ所属の山口剛史選手と組んだミックスダブルス選手権でも初出場初優勝を果たすなど、次世代の日本女子カーリング界を牽引する存在として注目されている。


集中力を持続するために

— まずは、カーリングという競技を始めたきっかけや、初めてやってみた時の感想をおうかがいできればと思います。

はい、私がカーリングを始めたのは、小学校4年生の頃です。当時の友人がカーリングをしていて、気になったので軽い気持ちで体験会に行ってみたら、もうそのままカーリングの沼にはまってしまってズブズブと(笑)。ちなみに、体験会は妹の結生と一緒に行っているので、姉妹で一緒に始めています。

— そうなんですね。具体的にはどういったところに魅力を感じられたんでしょうか。

小学生だとやっぱり、石が一つ20kgあるので、それを投げて向こうまで届かせるっていうこと自体が結構難しいんですけど、それが届いた時の嬉しさだったり。あとは、一つ一つできないことができるようになっていくことが楽しかったですね。「次はじゃあ何をしよう」「こうやったらうまくできるかな」みたいな探求心がどんどん出てきて、そのまま今日まで続けているような感じです。

— カーリングは1試合あたり3時間とかプレイされますよね。集中力の持続っていうのが他のスポーツと比較しても大変なんだろうなと思うんですが、集中力を養うという意味で日頃からやられていることや、意識されていることはありますか?

私はスキップなので、ハウスに立って作戦を考えたりとか、頭を使うことが多い役割です。ですので、試合の前だったり、試合の合間にエネルギーを摂ることで、疲労で頭が回らなくなることがないよう気をつけるようにしています。特に甘いものや果物を摂ることが多いですね。

— そうすると、身体に入れるもの、食事や飲み物などはすごく大事になってくるんですね

そうですね、食事以外だと、寒さも集中力を妨げる一つの原因ですね。身体が冷え切らないように、夏でもカイロを使ったりしています。特に私の場合は足先が冷えてしまうので、練習でも試合でもカイロを貼って、集中力が途切れることがないようにしています。

(左から)女子 SC 軽井沢クラブ 上野美優、上野結生、金井亜翠香
ⓒSC 軽井沢クラブ 2025-2026

勝者と敗者を分けるもの

今回SC軽井沢クラブ様の応援をさせていただくに至ったきっかけとしては、我々の扱っている製品の一つに「アドクリーナー」という広告ブロックアプリがありまして、そのキャラクターである「キュッキュちゃん」の姿が、カーリングのスイープしている姿と似ているよね、というところが始めでした。


— そこでうかがいたいのは、スキップである上野さんから見て、スイーパーという存在はどんな存在でしょうか?

石を投げてしまったあとは投げ手はもう何もできなくて、その後、石を目的のところまで持っていくのはスイーパーの役割なので、当然ですが、すごく大事な役割だと思っています。

スイープは氷にブラシで摩擦を起こすことで、距離を伸ばしたり、石が曲がらないようにコントロールしたりするのですが、それに加えて、今の技術だと「曲げる」っていうこともできるようになってきているので、スイーパーの役割は昔より多様になってきているとも思います。

— そうすると、例えば「ちょっと投げ間違えたな」っていう時も、スイーパーによって調整してもらったり助けられたりっていうのは、よくあることなんでしょうか?

そうですね。女子の選手でも、最初から最後まで掃けば2メートル近くは距離を伸ばせるので、繰り返しになりますが、本当にスイープの役割は大事です。

それと、カーリングは小さい髪の毛1本でも入ってしまうと、自分たちが予想していた軌道よりも変に曲がってしまうことがあるので、スイープで掃除をしてもらうことで、そういうことを未然に防いでもらっているという面もあります。

— 上野選手は世界ジュニア選手権で金メダルを獲られたり、世界選手権に出られたりと、世界レベルの戦いをされてきていると思うんですが、そういったハイレベルな戦いの中で勝者と敗者を分けるものは何だと思われますか?

2025年のシーズンはオリンピックを目指して代表決定戦に出場したりする中で、勝敗を分けるのは、巡ってきたチャンスを掴み取れるか取れないか、っていうところなんじゃないかと、今シーズンは強く感じました。

じゃあ、チャンスを掴むために何が必要なのか?っていうことですが、運なのか、努力なのか、執念なのか、それともそれら全部なのか。どの要素が必要だったのかは、チャンスを掴み取った瞬間にしかわからないのが勝負の世界なのかとも思いますし、どの要素が来てもいいように、常に準備をしておくしかないのかなとも思っています。

— そんな緊張感のある競技生活から一歩離れて、心を安らげるためのリラックス方法やハマっているものなどはありますか?

もともと私は読書が好きで。小学校くらいの時はずっと本を読んでいるような子だったんですけど、最近また本を読むことが増えてきて、寝る前なんかも本を読むことが習慣になっています。カーリングから少し離れて、違う世界に入っていけるのが楽しいですね。

最近では、アメリカのサッカー選手であるミーガン・ラピノー選手の自伝を読んだんですけれど、考え方だったり、試合に臨む心構えみたいなところがすごく参考になりました。

— 読書以外だと、スマホなんかも空いている時間に見られたりしますか?

はい、実はインドア派なので(笑)、スマホで動画を見ることが多いですね。海外遠征中はスマホで日本の情報を収集するようにしていますし、最近はYouTubeや他メディアでカーリングの試合が配信されていたりもしますので、気づいたら2,3時間くらい動画を見ていたりします。

3 月に行われた軽井沢国際カーリングにてミラノ五輪金メダルのスウェーデン代表選手と
ⓒSC 軽井沢クラブ 2025-2026

カーリングの楽しさ

— クラブで子供たちにカーリングを教える機会もあると思いますが、子供たちにカーリングの楽しさを伝えるとしたらどんな言葉を送りますか?

私もそうでしたけど、できなかったことを練習してできるようになるっていうことが、まずは一番楽しいことなんじゃないかなと思っています。結果として、できなかったとしても、チャレンジしたことが自分の宝物になっていくと思うので、まずは自分の好きなものを見つけて、それがカーリングだったら嬉しいですけど、とにかくチャレンジしてもらいたいなと思っています。

— 子供から聞かれることがあるでしょうし、テレビで観ている我々からしても、率直に「どうやったらあんなに上手に投げられるの?」と思うのですが、一番のポイントは何でしょうか?

一番のポイントは……やっぱり「氷と友達になる」ということですね。その日のアイスの状態っていうのは日々変わっていくんですけど、今日は馴染めなかったな、友達になれなかったな、というのが今でもあります。上手くやろうとするというよりは、昨日よりもっと親しくなろう、友達になろうという気持ちが、次につながるのかなと思っています。

— 最後に、6月に日本選手権が開催されますけど、目標を聞かせてください。

まずは目の前の一試合一試合に向き合い、アイスを読んで、ショットを決めて、チームで繋げて、最終的に勝利するというのが目標だと思っているので。その積み重ねが、結果として予選通過、優勝という形につながると思います。

最終的な結果を考えすぎると、体が固まってしまったりするので、まずは目の前のショットを決めるんだ、一試合を勝つんだ、という気持ちでプレーしたいなと思っています。

-ありがとうございました。日本選手権、応援しています!